急性糸球体腎炎

 急性糸球体腎炎は血尿(尿が紅茶色やコカコーラ様に赤黒くなる)や蛋白尿(容器におしっこをすると泡立つ)、浮腫(むくみや体重増加)、乏尿(おしっこの量が減ってくる)、高血圧(頭痛や嘔気)が突然起こってくる腎臓の病気です。通常腎炎が発症する前に、主に咽頭炎などの感染症がみられ(先行感染症)、一定期間後に腎炎を発症します。先行感染症の90%以上がA群β溶血性連鎖球菌であると言われています。他の原因としてブドウ球菌などの細菌感染症や種々のウイルス感染症が知られています。これらの細菌やウイルスが体の中で免疫反応を起こし、その結果作り出された免疫反応物質(免疫複合体)が腎臓の糸球体に炎症を引き起こすと言われています。
 典型的な急性糸球体腎炎の症状は血尿、浮腫、高血圧の3つです。血尿は薄いピンク色から紅茶色、コカコーラ様を呈するまで様々です。血尿に相前後しておしっこの出が悪くなり(乏尿)、まぶたがむくんできたり、長く立っていると下肢がむくんできます。また、体重が急速に増加してきます。顔色が何となく悪く、高血圧のために嘔気や嘔吐、頭痛を訴えてきます。重症例ではけいれんや意識障害がみられます。
 検尿検査で血尿と蛋白尿がみられます。先行する溶血性連鎖球菌感染症を証明し、血清補体価の一過性の低下でもって確定診断を下します。
 乏尿や高血圧、肉眼的血尿がみられる急性期にはベッド上安静が必要です。また、急性期には乏尿や浮腫・高血圧の程度に応じた水分や塩分、蛋白質の制限が重要です。急性期が過ぎ、利尿期(大量のおしっこが出だしたら)に入れば食事を制限する必要はありません。乏尿に対しては利尿剤が、高血圧に対しては降圧剤が使用されることがあります。
 浮腫や高血圧は7−10日以内に軽快しますが、血尿は多くは2−6ヶ月間続きます。この時期は過激な運動や過労は避けましょう。大部分の例は1年程で完全に治癒しますが、極希には慢性化する例がありますので、定期的な検尿検査が必要です。