細菌性髄膜炎

 髄膜炎は髄膜(脳や脊髄を包む膜)にウイルスや細菌などが感染し、炎症が生じて起こります。インフルエンザ桿菌(Hib:ヒブ)や肺炎球菌などの細菌感染による髄膜炎のことを細菌性髄膜炎と呼びます。細菌性髄膜炎は化膿性髄膜炎とも呼ばれ、ウイルス感染症が主である無菌性髄膜炎とは異なり、多くは予後不良です。抗菌薬が発達した現在においても、発症すれば死亡率が高く、治っても重篤な後遺症を残すことが少なくありません。発症年齢が低いほど重篤で後遺症を残しやすい傾向があります。
 年齢により主な原因となる細菌は異なります。新生児から生後3ヶ月の乳児ではB群レンサ球菌と大腸菌が、生後3ヶ月から年長児ではインフルエンザ桿菌(Hib:ヒブ)と肺炎球菌が大半を占めています。
 多くの場合、急な発熱で発症し、頭痛および嘔吐を伴います。病気が進むと意識障害や痙攣が現れてきます。発熱とともに急激に全身状態が悪化する電撃型もあります。年齢が低いほど症状は典型的ではなくなり、発熱がなく(むしろ低体温のこともあります)哺乳が悪くなってグッタリすることもあります。何となくいつもの風邪とは違うと気付くことが大切です。乳児の場合、大泉門の膨隆(おどりこが張る)がみられます。
 一刻も早い入院治療が必要です。
 最も大切なことはHibワクチンおよび肺炎球菌ワクチンによる予防です。この二つのワクチンにより約9割の細菌性髄膜炎が予防可能であると言われています。