細菌性腸炎

 サルモネラやキャンピロバクター、病原性大腸菌、エルシニア、腸炎ビブリオといった細菌が原因で起こる腸炎です。最近ではキャンピロバクターとサルモネラが1位、2位を争っています。キャンピロバクターは牛、ブタ、ニワトリなどの家畜や犬、猫などのペットの腸管に寄生していますし、サルモネラ菌はわれわれの身辺にいる多くの動物が保有しています。これらの動物の排泄物で汚染された食品や飲料水が感染源となります。サルモネラ菌の場合、生卵が原因となることがありますし、ミドリカメから感染した例も報告されています。
 主な症状は発熱、腹痛、嘔吐、下痢です。軽い腹痛と数回の軟便程度の軽症例から激しい腹痛をともなう頻回の水溶性下痢で血便を伴う重症例まで見られます。サルモネラ菌の場合、時に一過性の菌血症(細菌が血液の中へ入り込む)を起こすことがあります。
 嘔吐・下痢を繰り返し、おしっこの回数が減り、グッタリしている時や、腹痛が強く、血便が続く時、高熱が続く時には早く受診しましょう。
 便の培養を行い、原因となった細菌の検出により診断されます。
 治療には抗菌剤が使われます。嘔吐や下痢などの症状が強い場合は輸液(点滴)や入院治療が必要になってきます。
 細菌性腸炎を予防するためには肉や卵は加熱してから食べることが大切です。生野菜など生で食べるものを先に調理するようにしましょう。生肉、特に鶏肉を調理した包丁やまな板は熱湯をかけ、洗剤で洗って殺菌すると効果的です。